ケルクショーズ・イリヤ(Quelques Choses - il y a)

らららぎの思想の河床。記事まとめ▶ http://chatte.hatenablog.jp/entry/2017/03/05/011325

病気を他の病気に置き換えるやつはもう終ろう――穂刈けあきさんの「癌=メンヘラ」アナロジーについて

『メンヘラは癌』作・穂刈けあきhttps://note.mu/hokarikeaki/n/nc47a0d9c0ddb※上記の作品を踏まえております。※ぼくの記事のスタンスは「そういう表現をするのは自由だし、じぶんのことよく理解しながら描いていて素晴らしいなって思うし、メンヘラのワンタ…

ゆとり世代のラグーンから飛びだす

ゆとり世代はひとのせいにする――そう見えてもしかたないと思うところが(多々)ある。だからといって、それがすべてゆとり世代のせいなのかと問いたい気持ちもある。不毛な世代論を抜きにしても、いまの時代、あるいはここ十数年、「生涯をすごす」とか「キ…

啓蒙活動中毒者――「自分の不安が先、周知が後」を無視する平成教育のイデオロギー

「なぜ障害者差別がなくならないのか」「「私が正しくて、あなたが正しくない話なんですけれど、大事なことなんで聞いてください」――そんな話を誰が聞く? あるいは近視眼的な啓蒙活動と対話の場を劈くこと」※このふたつを踏まえたり踏まえなかったりしてい…

友だちの作りかた――状況と役割と序列

友だちがほしい、あるいは(友だちという関係を土台にした)恋人がほしいと心から思っているひとがいるだろう。しかし、その欲望(Desire)を純粋な意味で満たすことはできない。求めれば求めるほど遠ざかり、遠ざかれば遠ざかるほど欲望は増していく。「友…

企業が落語をやるとキレるひとたち――牛乳石鹸のウェブコマーシャルについて

ろくでもないやつを「いい加減で」許してやる、それが落語の結論である。ひとは落語をみてきいて、おれはそうはならないぞとか、わたしみたいなろくでもないやつがいるんだなあとか、じぶんにもそんなときがあったとか、そういう「もうひとりのフィクショナ…

なぜ障害者差別がなくならないのか

百人いたら、九十四人が健常者で、六人が障害者ということになる。その六人のうち重度の障害を得ているひとは、施設などに閉じこめられたりしながら、できるだけ人々の暮らしに姿を見せないよう強いられている。それを「差別」というキーワードで非難するひ…

無銭飲食という文化

La acción estuvo perfectamente coordinada: cuando el servicio del Hotel Carmen de Bembibre, León, sacó la tarta, se encontraron el salón vacío. Los 120 invitados al convite del bautizo se habían levantado y dejando tras de sí una deuda de …

アシモト、車輪ということばの選択肢のひとつ

今月売りの『Let's Go 4WD』(2017年4月号)に「THE BOTTOMS 4WD・SUVホイール最前線 お洒落も性能も車輪(アシモト)から」という特集が組まれていて、その添え字に感動した。 車輪=アシモトということばの選択肢が、そもそも4WDの界隈ではふつうなのかも…

敬遠申告制について考える

日本の野球のルールがバカスカ変わっている。 そのたび賛意両論あるわけだけれど、今回の「敬遠申告制」の問題ではバッシングに近い勢いで反対派のひとたちが憤っている。気持ちはわかるし、声を荒げることで野球ファンなじぶんを主張したいのもわかる。だけ…

「付き合う」とは、恋人同士がたがいにありもしない他者を想定することである

ぼくと付き合ってください――なんて言った経験が、多少なりともぼくにだってある。いま思うといったいぜんたいハテナなことばだが、当時は、そこに信じられないほどのリアリティとアクチュアリティがあったと思う。その「愛の告白」の高校生バージョンは、個…

こんな風に音楽に噛んだ罪――街中の音楽を愛せるとき

「にらめっこしましょ、笑うと負けよ、あっぷっぷ」と書けば、自然とあのメロディが思い浮かぶ。「あーそーぼー」と書いても、きっとなんとなくのメロディが揃ってくる。ぼくらは歌っている。たったひとつの情報を伝えるために、いちいちメロディをつけて、…

記事のまとめ(随時更新)

【ブログ】 「2017年の目標:奇跡(cud)を信じること、冒険のなかで肯定すること、夫婦を越えてゆくこと」(ポーランド語の"cud"が持つニュアンスを2017年の生きかたに籠めてゆきたいという話)「『私、白いものに目がないので』――乃木坂46・堀未央奈のコメ…

読んだ本の一覧(2017/01/29~)

目指すところは恩田陸さんの「年間300冊」です。映画や漫画も含む甘い設定でゆきます。《ルール:ひとりの作家として読むこと》。リンクがないのは、近々読む予定・読み途中・書き途中のいずれかです。そのうちリンクがつきます。落ち着いたころに読書論も書…

カラオケは作家のストレス発散なりえるか

ぼくはよく歌う。カラオケではなく、部屋や公園でアコギを、あるいは無伴奏で唐突に。なぜ歌うのかという問いを人類学的に答えようと思えば、エスキモーの例にならって危機回避なのかもしれないが、ぼくの場合はおそらくちがう。 大事なのは、ことばを何度も…

キドジロウ『ヒトリアソビ』

ぼくらはだれでも《あの頃》という大小の過去をもっている。それは抽象化されてしまった「家」(Heim)であり、その具体なき家に傷つけられること(weh)でもある。もう〈そこ〉に還ることはできないのに、美化された〈そこ〉は私を傷つけてくる。 「そんな…

森達也『いのちの食べかた』

この法律で「と畜場」とは、食用に供する目的で獣畜をとさつし、又は解体するために設置された施設をいう。――「と畜場法」第三条2項 つい先日、友人ふたりと品川で撮影練習をしていて、南口を歩いているとき「ここ祭りのとき入れるんですよ。それでお肉もら…

これまでに寄稿した作品

【あみめでぃあ】 「あみめでぃあの目的について」「あみめでぃあを書きたいひとのための文章講座」「わかりやすさを求める原稿のとても困るところ」「小説家志望の、夢かと思うばかりの」――VOL.5「共犯しよう、そうしよう」――VOL.4まえがき「迂回と秘密(Ci…

「匿名だと本音を言う」という思い込み=期待について

※誰にも邪魔されない理想の本音→〈本音〉、じぶんや他人からの期待が先立っている本音→《本音》 凶悪で特大な思い込み――「匿名になることで本音を言うようになる」。それはしごく尤もらしく、また受け容れやすい。まるで職場でお菓子を配るように、みんなが…

「ともにある」はそんなに悪い和訳だろうか

記者発表は、日米首脳が滞在する米南部フロリダ州パームビーチの高級リゾートクラブ「マールアラーゴ」で午後10時38分(日本時間12日午後0時38分)に始まった。天井に豪華なシャンデリアが飾られた一室には、急きょ呼ばれた日米の記者約20人が詰…

エマニュエル・レヴィナス『困難な自由』三浦直希・訳/合田正人・監修

おお! 忘れられた小瓶の窮屈な境界のなかで、自己に沈潜する夜間的実存。おお! 外部との疑わしい接触すべてを免れた実存、持続を横切る昏睡的実存、人里離れたイェシヴァに保存された教義のように、生の余白でまどろむ液体、地下の隠れ場で時間と出来事か…

あまりになにをどうすればこそ、なにをどうできるようになるのだろうか(異化について)

我が家でひらいたパーティで、だれが言い出したか「インディアンポーカー」をやったことがある。積まれたトランプの山から一枚ひき、確認せずに額の位置まで持ってくる。じぶんのカードだけ見ることができず、ほかのひとたちのカードは見える状態。強いカー…

デートを考える――再納得・傾向性・身柄

中学のころ「デートなの? 友だちなの?」と聞かれたことがある。いや、これはふたりで「遊び」に出かけているだけだと答えると、「じゃあ友だちなのね」という感じに落ち着いた。それから大したすり合わせもできず、その子がデートということばを好むのであ…

まいにち漢語で気取ってる〈1〉はじめに、唐揚げの入っていないことが"遺憾千万"たりえるか

なにがヘン? 「お昼ごはんのおべんとうに唐揚げが入っていないなんて遺憾千万だ」――この文章にはひとつ怪しいところがあって、お察しの通り、「遺憾千万」(いかんせんばん)の部分である。これを「こころが晴れない」と書いた場合と「遺憾千万だ」と書いた…

(掌編)夜を生きたいラーメン屋

「夜明けなんて一生!」 なんと言ったのかほとんど判別できないような小慣れた短いモーラで、ラーメン屋の店長•神崎タクトが本日八人目の客に熱を飛ばした。 22世紀に突入してから5年も経ったが、神崎はいまだに旧いラーメン屋で勝負をしている。珍奇なもの…

菅原千代志『アーミッシュへの旅 私たちのなくした世界』

去年の米大統領選で「アーミッシュ」がトランプを支持したというニュースを見て、その名前を思い出した。入試の歴史問題で重箱の隅をつつかれたときのために「キリスト教の一派」として覚えただけの、単なる観念の暗記だった。 先日、また「アーミッシュ」を…

あんなにCMやってるのに、重要なことは教えてくれない(だがこれが消費者契約か)

■ご利用料金プランご利用可能な料金プラン、サービスは下記の通りです。料金プラン:「スーパーカケホ」「スーパーカケホ(V)」「カケホ」「カケホ(V)」「LTEプラン」「LTEプラン(V)」データ(パケット)定額サービス:「データ定額1/2/3/5/8/10/13/…

斎藤環『人間にとって健康とは何か』

「健康」という問題が深まる一冊だった。社会の話をしたり宗教の話をしたりヤンキーの話をしたりするので、あっちにいったりこっちにいったり、ごちゃごちゃしているが、とにかく「健康ってものをさ…もっと個人のサイドに立って考えろよ!!!!!!」という…

お引っ越し日記:〈1〉引っ越しの条件を枚挙しながら《ちょうどよさ》を探求する

最後に引っ越したのは六年も前のことで、身辺事情もめまぐるしく変化し、そろそろ本気で次の住処を探そうと思った。ほんとうなら最初の一年で引っ越してもよかったのだが、我ながらよく六年も住んだものである。いまは広めの2DKにひとりで住んでいて、ふつう…

九井諒子『竜の学校は山の上』・表題作

丸井諒子さん…じゃなくて九井諒子さん。間違い探しみたいだ。初期作品集の本作には、読み切りの漫画が九編ほど収録されている。そのうちの一作である『ダンジョン飯』という読み切りは「会話が音ゲー」と評判で、いままさに続編が出ているらしい(つまり読み…

山田詠美『風葬の教室』

ログライン的に言えば、「都会から田舎に引っ越してきた少女が、自身に向けられるいじめ行為を《風葬的に》リジェクトする話」となるだろう。平林たい子文学賞受賞作で、直木賞受賞後の第一作目。ここまで書いたのかと恐ろしくなる。 この物語にはいろいろな…

東直子『東直子集 セレクション歌人26』

短歌っておもしろいな、と初めて思ったのは、穂村弘さんのひどく偏った――かつ偏っていることがプロフェッショナルの文脈で完璧に自覚された――短歌エッセイを読んだときだった(『短歌という爆弾』)。そのあと短歌をいろいろと鑑賞するようになって、当然、…

ありのままとは、原状なき回復のことである

アナと雪の女王(原題は「Frozen」)の主題歌が流行る前にも後にも、「ありのままの自分」というのは喧伝され続け、90年代を生きるひとに商業化された「癒し」を与えてきた。ここで問題となるのは、「Let it go」の訳語としての「ありのままの姿を見せる」が…

読書猿『アイデア大全』――知的で当然という殴り掛けに応じること

受験生のときだったか、くるぶしさんのブログを知って、よく熱心に読んでいたのが本当に懐かしい。そんなノスタルヂアを刺激する著者名――「読書猿」――に賭け、本当に1,700円の価値もあるのか値踏みすることもなく、購入に踏み切った。 アイデアを生む方法(…

誰かに何かを伝えたい気持ちは、全くなんでもない気持ちである

誰かに何かを伝えたいってどういう気持ち?— 御みつ (@aotohmitzu) 2017年1月29日 いやあいい問いだ…。考えずにはいられない。ぼくの言語運営能力じゃあ、どうせこれっぽっちも言語化できないが、やれるところまでやってみよう。 「自らのなにかを犠牲にして…

幸田文『包む』あとがき

何をお包みいたしましょう、という云いかたは、いまではほとんど聞かれなくなってしまった。私は子供のころそれをお菓子屋さんでよく聞いた。小学校も三四年になるとお使いがおもしろくなって、頼んでもさせてもらう。はゝはお使いに行くさきを択んでさせて…

ピエール・ルメートル『その女アレックス』橘明美・訳

直木賞を受賞した恩田陸さんが新聞のインタビューで「年間で300冊ほど読んでいる」と語っており驚愕した。石田衣良さんも作家にとって読書は必要だという話をしており、作家の末席を汚している私も、なんとなくそんな気がしている。特に彼は「翻訳もの」もバ…

「同じ愛し方」に悩むひとたち――恋人を格付けすると「添えなさ」に気づけなくなる

前にも感じたことのある気がするけど、そうでない気もする。そんなやつ。あー、やっぱ1番になるって難しいね。うちいつになったら1番になれんだろ。同じ愛し方されてんだろうな、って事はうちの元カレもうちのこと思い出すとにやけちゃったりするのか? 笑っ…

幻想だからなんなのか、形骸化だからなんなのか――相手のことばにひたりつくこと

「そんなの幻想にすぎない/偏見にすぎない/言い訳にすぎない」とか、「それは形骸化している/時代遅れだ/負の遺産だ」とか、気に食わない意見や排除したい前提があるとき、ぼくらはこういった否定のストックフレーズで優位に出ようとしてしまう――もちろ…

トヨタとトランプ、新聞が論じない点について

Toyota Motor said will build a new plant in Baja, Mexico, to build Corolla cars for U.S. NO WAY! Build plant in U.S. or pay big border tax.— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2017年1月5日 トヨタ自動車は、合衆国で売り出すカローラをメキシコ…

もっとローコンテクストで愛してもいいんじゃあないか

「好きなひと」に頭を撫でてもらったり、手を繋いだり、抱きしめてもらったりすること。性的なことじゃないんです、ちょうど、親がこどもにするような――わたしは両親からではなかったけれど――触れるというイベントが毎回、いちいち、とてつもない感動を伴っ…

大切なひとの前に出てゆき、なにかを本音として語るということ

この数年間ずっと逃げてきたけれど、今年こそ「本音とは何をどうすることなのか」という問題を落着させようと思う。 そもそも問題意識として、ぼくらはひととやりとりするときに、自他の言動や行動を既存の概念に押し込んで管理するわけだが、その管理センタ…

せめて友だちのことぐらいは翻訳できるようになりませんか

616 名前:いいちこ飲んでる名無しさん[sage] 投稿日:2014/06/13(金) 12:34:59.37 ID:6+eXXiTQ>>615なんであの監督クビになったの 617 名前:いいちこ飲んでる名無しさん[sage] 投稿日:2014/06/13(金) 12:35:22.12 id:C35aXC6q>>616選手のこと殴ったから 6…

2017年の目標:「奇跡(cud)を信じること、冒険のなかで肯定すること、夫婦を越えてゆくこと」

Cud pospolity:to, że dzieje się wiele cudów pospolitych.(…)Cud, tylko się rozejrzeć:wszechobecny świat.Cud dodatkowy, jak dodatkowe jest wszystko:co nie do pomyśleniajest do pomyślenia.――Wisława Szymborska「Jarmark Cudów」 ここ数年は「平…

ちくわさん、ぼくから見たよ、ちくわさん

これから、ちくわさんについて語ってゆく。語りたいという気持ちと、語らなければいけないという気持ちが以前から小さい熾火として同居していて、昨今(?)どちらもきわまってきたので年末の勢いを借りて記してゆく。と言ってもまあ、総決算というわけでは…

#今年もそろそろ終わるからいいねしたひとにコメント

みなさん今年もありがとうございました。来年も、よろしくね♡ ぴゆか @__Zzz___ '16年は、ゆかぴのすすめ(?)でふんわりをお迎えしたことで生活かわりました。ぬいぐるみに個人的な癒やしを感じる経験は小学生ぶり――「のりじ」というイノシシのぬいぐるみ…

強引な言葉遣いに私の想いが沈むとき――決めつけることについて

「好きだ」ということだけを覚えていて、その気持ちが何に支えられていたのか、何から始まったのか、本当は何だったのかということに対しての興味を失っていき、あらゆる「最初」は好きによって晦まされてしまう。向き合わなければならないのは、「好き」と…

(自分用)英語の語彙ノート

久しぶりに英語の勉強中(英字新聞を読んでメモってるだけ)。 ※出典の表記がない場合は原則「collins cobuild english dictionary for advanced learners」より引用。語義が複数ある場合は語義番号を明記。 ----------------------------------------------…

「私、白いものに目がないので」――乃木坂46・堀未央奈のコメント

今月売りの『BLT』(Beauty Lady Television, 2017年2月号・乃木坂46版)に「晴れ着だ! パーティだ! 乃木坂46全メンバー登場!」という特集があって、そのなかの「晴れ着散歩 Haregi Sampo」に載っていた、齋藤飛鳥、生田絵梨花、高山一実、堀未央奈の四人…

蔵書を整理しました(写真付き)

クリスマスのプレゼントとして、四人の友だち(物書き)に「高価な本も、稀少な本も、ぼくの蔵書からなんでも持ってっていいよ」という破格の企画をした。30~40万円分くらいの本が捌けたのは、ビブリオフィリアとして非常に寂しいけれど、じぶんの好きなひ…

入浴剤で誕生日を祝う10の方法

「ほら、あれ、ドジョウっていうのはさ、広い場所じゃないと飼育できないんだよ。だから小さい水槽じゃなくてせめて池とかが必要なんだってね」「へえ、じゃあ俺と同じかもしんねえな」「それってどういう意味?」「いやあ、俺も広い風呂にしか入りたくねえ…